入社3年以内で退職する正社員たちが勘違いしていること(自戒を込めて)

はじめに

今年の4月、大学を卒業し就職して丸3年を迎える。

新卒者の早期退職の話題は様々なメディアによって毎日のように語られている。実際、私の周りでもあっさりと退職する人が何人もいた。私自身もたまたま辞めなかっただけで、何かのきっかけがあれば簡単に今の会社から逃げていたかもしれない。ただ、今になってみると、辞めていなくてよかったと思う。

なぜ、こんなに退職する人が多いのか。そして、なぜ今辞めなくてよかったと思うのか。そのことについて少し述べていきたい。

なぜ辞めるのか

退職時、会社に本音をすべてぶちまける人は少ないと思う。若いとはいえ大人なので、それらしい理由付けをする。例えば、家族の事情、友達の会社に誘われたなど…。だが、個人的に話を聞いてみると、本音は別のところにある場合が多かった。その意見をいくつかまとめると、大体以下の4つのパターンに収まる。

  • 仕事がつまらない
  • 拘束時間が長い
  • 職場の人間関係
  • 精神的・体力的に辛い

個人的にも上の4つの条件が重なったとき、一番辞めたくなった。こんな状況では誰もが辞めたくなって当然だと思った。

なぜ辞めなかったのか

一言で言うと、他にやりたいことがない限り、どこへ行っても一緒だからだ。入社してたかが数年の、スキルも実績も役職もない人間にはやりがいのある仕事は回ってこないし、拘束時間も人間関係もコントロールできない。だから、精神的・体力的にも辛い。そのことにふと気づいたからだ。

もちろん、どこでも一緒だとわりきるだけではやっていけない。前の職場では雰囲気は最悪、朝の9時から働き、毎日のように終電で帰っていた。また非常に忙しい職場だったため、持病の腰痛が悪化し、立っているだけで激痛が走るような状況だった。精神的にも不安定で、上司に怒られただけでめまいがし、しまいには泣き出す始末だった。妻子持ちの25歳の男が人前で泣くなよ。

その時期は今までで一番辛かった。そのとき、私はある行動に出た。

ごねたのだ。

自分が関われる一番上位の人間に、真剣な顔で、ありったけの事実を伝え、この環境ではやっていけないと言った。辞めさせてもらいたいと言った。

それから状況は一変した。ごねてから数日後に話し合いの場が持たれ、十数日後には異動した。拘束時間も減り、不安になるくらい忙しさもなく、腰痛も少しずつよくなってきた。新しい職場に慣れるにつれ、辞めたいという気持ちは薄くなっていった。

異動前はまじめに辞めたいと考えていた。その思いを上司に伝えたかっただけなのだが、会社からすれば下っ端社員がごねているだけにしか見えていなかったのかもしれない。実際、辞める気はなくなってきたのだから、会社の判断は正しかったかもしれない。

この一件で学んだのは、退職の意思を伝えるというのは、若手社員が環境をコントロールできる唯一の機会かもしれないということだ。もっともらしい理由を伝えれば、もっともらしく退職の運びになるが、本音をぶちまけたら、会社は動いてくれるものだったんだ。

なぜ辞めなくてよかったのか

ここが、いちばん重要なポイントなんだけど、職位が低い間は、「会社からもらっている最大の報酬はスキル」であって、その資産価値に比べれば、「もらっている給料なんて、倍になろうと半分になろうと、誤差」なんですよ。

ひとたび、スキルさえゲットすれば、職位を上げられるし、その会社が出世させてくれなくても、さっさと別の会社に転職して、面白い仕事とおいしい給料をゲットできる。だから、「給料少ないのに、そんなに必死で働いてもしょうがない」ということを言っているバイトちゃんを見るたびに、「こいつら激しく頭悪いな」とよく思う。職位の低い間は、サービス残業というのは、会社にたいしてサービスしちゃう残業というより、自分自身にスキル獲得という大きなサービスサービスをするための残業なのだから、やればやるほど、めちゃくちゃ得なのに。

また、さらに言えば、同じ仕事の質と量なら、会社は、できるだけ安い人間にやらせようとする。だから、時給200円で、ハイクオリティーの仕事をしつづければ、どんどん仕事が、それも良質の、クリエイティブな仕事が回ってくる。

無学歴、無職歴、無実力のニートが年収500万円の正社員になる方法 - 分裂勘違い君劇場 」より

自分をトコトン安く売りその引きかえに、経験と実験の場を手に入れる。
会社という舞台で「タダの社員」という立場をフルに活用し、「伝説」をつくる―。
そう、「伝説の社員」になるのです。

「伝説の社員」になれ! 成功する5%になる秘密とセオリー」より

上に引用したような考え方からすると、特別やりたいことがないのなら、辞めないで自分が安いうちにどんどんスキルを磨いたほうが断然将来のリターンが大きいのだ。そして、とっとと出世しちゃえばいい。

そうすれば、私みたいな一回限りの裏技を使わずに、やりがいのできる仕事をもらって、自分のコントロールできる部分を増やしていけるのだ。