49.【議論よりつっこみ】『つっこみ力』 パオロ・マッツァリーノ  ちくま新書


つっこみ力 ちくま新書 645つっこみ力 ちくま新書 645
パオロ・マッツァリーノ

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目次

第一夜 つっこみ力とはなにか もしくは なぜメディアリテラシーは敗れ去るのか
愛の章―わかりにくさは罪である
笑いの章―つっこみ力の真髄
勇気の章―権威へのつっこみ
幕間 みんなのハローワーク―職業って、なんだろう
第二夜 データとのつきあいかた

参考になった箇所

  • なぜ本が売れないのか。それは、つまらないからです。人は正しさだけでは興味を持ってくれません。(中略)本当に重要なのは正しさではありません。付加価値であるおもしろさのほうなんです。
  • ぶっちゃけた話、批判力や論理力をいくら磨いたところで、実社会でその能力を発揮する場所や機会は、ほとんどありません。(中略)すでに存在するものが論理的に正しいことを証明したとて、「そうだろうね。とっくにわかってたよ」といわれるだけです。

(中略)
社会が本当に求めているのは、批判力や論理力ではなく、新たな価値を提供する創造力なんです。
(中略)
つまり創造力は、ギャグをいう能力、ぼけの能力です。社会が本当に求めているのは、ぼけ力のほうなんです。
(中略)
天才・異才・奇才がぼけりょくで新たな価値を生み出し、秀才や凡人はつっこみ力でそれを盛り上げ、価値を高めていく。これで社会をおもしろくしていこうではありませんか。

  • すべてのデータには、それを作成して人間の、なんらかの意図や偏見が裏に隠されています。データをおもしろがれずに、信じてしまう人は、そこらへんのカラクリをわかってないのでしょう。
  • 戦後、日本では個人主義が重視されすぎて、自分勝手な人が増えたと、まことしやかに語られますけど、私はその説、うさんくさいと思ってます。自分、家族、ご近所という、顔の見える人間関係が大事だった昔の人のほうが、いまよりよっぽど、世界の中で自分自身が占める割合が大きかったはずです。昔のほうが、自分勝手な人はたくさんいたんです。ただし、いい人も悪い人も、みんなが自分勝手だったから、いい勝手と悪い勝手がぶつかり合って、うまい具合にすり合わせていたんでしょう。