51.『「話し方」の心理学―必ず相手を聞く気にさせるテクニック』ジェシー・S. ニーレンバーグ 日本経済新聞社
「話し方」の心理学―必ず相手を聞く気にさせるテクニック (Best of business) | |
ジェシー・S. ニーレンバーグ Jesse S. Nirenberg 小川 敏子 日本経済新聞社 2005-10 売り上げランキング : 10349 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
目次
- 人とわかりあうことのむずかしさ
- 会話に乗ってもらうために
- 人の考えを引き出す
- 人の感情にどうむきあうか
- 言葉に託されたメッセージを読む
- 思考を伝え、相手からフィードバックをもらう
- 話を聞いてもらうために
- 頭をはたらかせる
- 相手の抵抗にどう対処するか
- 発言の意図をつかむ
- 会話におけるギブ・アンド・テイク
- 複数の聞き手に意思を伝える
- 説得の手法
参考になった箇所
- 話すときには意図的に内容を繰り返すように気をつければよい。(中略)ただし、同じ言葉をそっくり繰り返すだけでは相手が退屈する。
- 会話に乗ってもらうための3つの方法
- 会話の目的を告げてから会話に入る
- 相手の気持ちを尊重する(会話をするとき、頭の中で相手と入れ替わって自分の言葉を聞く立場に立ってみよう)
- 的外れの質問を受け止め、なぜそのような質問が出るのかを考える(話し手と聞き手の関心はかならずしも一致していない。本筋とは関係のなさそうな質問でも、聞き手には何らかの思惑があるはずだ)
- どうすれば快く情報を提供してもらえるだろうか。まず、ありがたいというこちらの気持ちを表現することだ。
- 相手からなにかを聞きだしたい場合、最初に相手がこたえやすい質問をする。(中略)ごくかんたんな質問をすれば、相手は自信を持って回答できる。これがスムーズに会話をはじめるコツだ。
- 抽象的な質問をするための4つのコツ
- イエスかノーかでは答えられない質問をする
- 「どう思いますか?」「どうやって?」という問いかけの言葉をつける
- 相手の返事の中のキーワードを復唱して相手に返す
- 要約して返す
- 感情的な反応に関して論理は無力である。感情を払拭できるどころか、逆効果になるだろう。
- 人の感情にどう対処するか
- 感情を表現させる
- 相手に自分自身の感情を自覚させる(ひょっとしたらこう思っているのではないか、とたずねてみる)
- 批判せず、相手の感情を受容する
- 感情は素直に出すほうが良い。自分自身はもちろん、他人の感情もうまく引き出すようにする
- 話のスピードや間のとりかたも潜在的なメッセージとなる
- 誰かを褒めるときには手放しでこころの底から褒めること。これは鉄則だ。
- (聞き手と話し手の)両者の頭にあるイメージがぴたりと重なるはずがない。なぜなら聞き手が受け取っているのは話し手のイメージのごく一部に過ぎないからだ。残りの部分は自分の願望、関心、これまでの経験で補っている。
- 「事実」と「解釈」とを混同しないように、内容を確認する
- 会話とは本来、くいちがいの連続である
- 相手とのイメージのズレを調整するためには、まめな「確認」が必要である
- 相手の言葉に対する解釈をフィードバックする
- 相手になにかを伝えるときは、一度にひとつだけと決める
- ひんぱんに話の内容を確認し、だいじなことはつづけさまに言わない
- 会話では伝えたいことをテンポよく伝えるように気を配る。テンポによって刺激のある会話にもなれば退屈な会話にもなる。
- 新鮮な情報を加える
- できるだけ具体的な言葉を使う。抽象的な言葉を使うときには、具体的な言葉で補う。
- この人を説得したいという場合、念入りに質問を組み立てる必要がある。まず「相手を納得させるために必要な情報」を考えてみる。そして相手からその情報を引き出すために質問をする。目指す方法を得たところでさらに質問する。すると相手は説得に応じるかどうか、態度を決める。
- 激しい反発は、提案を受け入れたいという思いの裏返しである可能性が高い
- 怒りは反発心をあおり、逆に満足した状態の時には相手の言うことを受け入れやすい。(中略)要するに、意見がちがうから反発するとは限らないのである。
- 思考をゆがめないための5つの方法
- なにを前提に判断しようとしているのかを知る
- 数字に直す
- 白か黒かで分けず、グレーゾーンの中に位置づける
- 頭から決めてかからず、一つひとつについて柔軟に考え正確に判断する
- 意見を述べるとき、誰かの意見を聞いたときには、裏づけをする
- 「ギブ」という言葉は、「与える」つまりなにかを引き渡す行為を意味するとともに、人の利益のためになにかをあきらめる、つまり「ギブアップ」の「ギブ」でもある
- おぼえておいてほしい。聞くという行為は相手を癒すことにつながっている。
- 自分にとって楽しいことは相手にもきっと楽しいはずと思うのは幻想である
- 役に立つ情報、賞賛、激励の言葉を受け取ったら、相手に敬意を示すのを忘れないことだ
読んで思ったこと
自分の話していることが100%相手に伝わるはずがない。
そんな前提から生まれた様々なテクニックが織り込まれた本です。
以心伝心とか甘っちょろいことは言ってられません。夫婦喧嘩でも、同僚やお客様とのトラブルでも、だいたい原因はきちんとコミュニケーションを取っていないからです。逆に、きちんと意思疎通を図れていれば、物事はいくらでもうまくいくはずです。
そういった意味では、ビジネスマンに限らず、全人類が読むべき本じゃないでしょうか。