185.女たちよ!/伊丹十三

伊丹 十三
新潮社 2005-03
¥ 546

  • イギリス人の大人さ加減、フランス人の美的感覚、そっくり盗んでほしいものはあくらでもある。ただ、優れたものを取り入れる時には、それを自分の狭い視野と貧しい感覚でもって、低い次元にまで引きずりおろし、歪曲するというようなことをするべきではない、というのだ。根本精神をあやまたずに盗め!(22ページ)
  • 確かにシェイクスピアを生んだ国だけのことはある。イギリス人というのは実に人間が好きなのだ。そうして、実に人間を観察することが好きなのだ。

人間を欠点多きものとして認め、そしてゆるし、その欠点の枠の中で、なんとか最良の結果を得ようとする。(168ページ)

  • 人間は、自分自身と対話することを、しだいに忘れ去りつつあるように思える。(190ページ)
  • 若々しく、軽やかで色の美しい葡萄酒がロゼである。いわば気楽な酒であって、日を浴びながらする、野原や海岸での昼食に、これほど似つかわしい酒はまたとあるまい。(226ページ)
  • いい服というのは、目立たず、ごく上品で、由緒正しく、かつ野暮なものがよい。似合いすぎる服、一分の隙もない服装などというものは、人間が胡散臭くなるだけだ。(中略)やはり紳士は野暮でなくてはいけない。野暮というのは相手を疲れさせないしね。(252ページ)
  • 個性なんてどうでもいいじゃないか。第一個性なんてちっとも出てやしないじゃないか。出てるのはなにがなんでも人より目立ちたいという醜態だけじゃないか。そんなものは個性と関係ないじゃないか。個性的なお洒落、なんて男の口にする言葉じゃないよ。(253ページ)