24.『ウェブ進化論』 梅田望夫 ちくま新書

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)
梅田 望夫

筑摩書房 2006-02-07
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ウェブを通して、世界はどう変わるのか。


それはゆっくりと変わる「こちら側」の世界と、
瞬く間に変わり続ける「あちら側」の世界の
どちらに重心を置くかによって変化の見え方が違う。


ただ、どちら側を選ぶにせよ、
確実に世界は変わるという認識を持たなければ、
取り残されてしまうということは言える。


そして、梅田氏の論調からは、
「世界はよい方向に変わらなければならない。
そして、そのサポートをする立場に身を置く」
という、強い意志を感じる。

  • ネット世界の三大法則
    • 神の視点からの世界理解(膨大な量のミクロな動きを全体として把握できる)
    • ネット上に作った人間の分身がカネを稼いでくれる新しい経済圏(リアルの自分の収入とネットの自分の収入でポートフォリオを組む)
    • (≒無限大)×(≒ゼロ)=Something、あるいは消えて失われていったはずの価値の集積(ほんの些細な価値をゼロコストで自動集積することによって、何らかの価値を生む)
  • 「ITは既存社会の枠組みの中で道具として使いこなすべき」という視点と「ITの進歩によってはじめて可能となる新しい仕組みを是とし、人間の側こそがそれに適応していくべき」という視点
  • 付加価値が順次「あちら側」にシフトしていき、「こちら側」のモノはコモディティになる、誰でもいいから中国で作って世界に安く供給してくれればいい、というのが米国が描くIT産業の将来像だ。
  • モチベーションの高いメンバーだけで構成される小さな組織で、すべての情報が共有されると、ものすごいスピードで物事が進み、それが大きなパワーを生む。
  • 道具自体に革新性があるのではなく、すべての情報を共有することを原則に「情報自身の淘汰」に委ねるという思想のほうに革新性があるのだ。
  • アドセンスの達成とは、広告主のロングテール部分(広告など出したことがなかったスモールビジネスやNPO、個人)と、メディアのロングテール部分(広告など掲載したことのない極小メディア)をマッチングさせて、両者にとってのWin-Winの関係を築いたことである。
  • eベイの創業者ピエール・オミディヤーは「Web2.0とは何か」とたずねられ、「道具を人々の手に行き渡らせるんだ。皆が一緒に働いたり、共有したり、協働したりできる道具を。『人々は善だ』という信念からはじめるんだ。そしてそれらが結びついたものも必然的に善に違いない。そう、それで世界が変わるはずだ。Web2.0とはそういうことなんだ」と答えている。
  • ロングテール現象の核心は「参加自由のオープンさと自然淘汰の仕組みをロングテール部分に組み込むと、未知の可能性が大きく顕在化し、しかもそこが成長していく」ことである。そしてそのことを技術的に可能にする仕掛けとサービス開発の思想がWeb2.0である。
  • 「個人にとってのオープンソースとかブログとは何か。それはポートフォリオであり、面接であり、己の能力と生き様がそのままプレゼンテーションの装置として機能する。(中略)記事を書き続けることで人との繋がりも生まれていく。(中略)それだけのものを、金も人脈も後ろ盾もない人間が手に入れる唯一の手段が、情報の開示なのだと思う」fladdict.net blogより
  • 「ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています」 羽生善治
  • 「自分が進もうとしている世界に、もう高速道路が敷かれているのかいないのか」ということを最初から考え、あるいは高速道路で渋滞にさしかかったところで考え、高速道路が敷かれていない新しい世界に進むのも選択肢の一つだ。(中略)異質なものを異質なものと組み合わせていけば、「個」にとってはさらに無限の可能性が広がる。