25.『フューチャリスト宣言』 梅田望夫 茂木健一郎 ちくま新書

フューチャリスト宣言 (ちくま新書 656)フューチャリスト宣言 (ちくま新書 656)
梅田 望夫 茂木 健一郎

筑摩書房 2007-05-08
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「ウェブと志向性とオプティミズムとの関係」がよくわかった。
半年前にも一度読んだが、そのときよりはるかにウェブに深く関わっているので、
非常に納得できる部分が多かった。


以下、u=梅田氏、m=茂木氏の発言とする

  • 未来にどのような思いを抱くかで、今日の生き方が変わってくる。(中略)人間の脳というものは不思議なもので、「これからは大いに有望だ」と思うとそのように活動し、「あまり良いことはない」と思うとそんな風に活動する。(m)
  • シリコンバレーはそういう歴史が重なっているんです。つまり、コンサバティブなことを言うほうが最後は負けるだろう、そのくらい世の中が進歩することが経験的にわかっている。コンサバティブなことを言うほうが陳腐化するだろうなという、逆の常識がある。(u)
  • 僕はいろんな意味で「二つの別世界」仮説を持っているんですよ。(中略)例えばリアルとネットは別世界。グーグルとクオリア*1は、対立軸と言うよりは別世界。(中略)二四時間をどういうふうに行ったり来たりするのかということがこれから問われる。(u)
  • 結局教育って、ポジティブなものを与えるということ以外に何の意味もない。(u)
  • 知的な資源が「希少」でなく、「豊富にある」ようになるということは社会に重大な変化をもたらすと思う。そもそも社会の中で僕の憎むさまざまな「障壁」や「差別」の根源には、「リソース(資源)が限られている」ということがあると気づきました。(m)
  • 志向性がすべての始まりなんだ。(u) そう僕は思っています。特にネット時代においてはそこが非常にクリティカル*2です。結局、サーチ・アンド・チョイスのチョイスの場面で、どういう志向性を持てるか、ということが大事だという気がするんですね。(m)
  • たくさんの分野に興味があって、関係性に興味がある、俯瞰してものを見て全体の構造をはっきりさせたいという志向がある人はこれからの時代に有利になってくる気がします。(u)
  • インターネット時代には、逆説的ですが、古典的な教養というものが、復活するんじゃないかという気がしています。総合的な視座が求められる世になるから、かえって、それこそ孔子だとかゲーテだとか、総合的な知を実現した人たちに関心が再び向かうだろうというのが僕の直感です。ネット時代の教養における「固定点」のような役割を本がするのかもしれませんね。(m)
  • 結局、インターネットが人類にもたらした新しい事態の背後に隠されたメッセージは、一つの生命原理ということだと思います。命を輝かせるためには、インターネットの偶有性の海にエイヤッと飛び込まないと駄目なんです。(m)
  • 「もうひとつの地球」というのは、君たちが「これが面白いんだ」「自分がこういうことが好きなんだ」ということがわかったときに、その能力をどんどん増幅していける道具なんです。(u)
  • 同時代の常識を鵜呑みにせず、冷徹で客観的な「未来を見据える目」を持って未来像を描き、その未来像を信じて果敢に行動することが、未来から無視されないためには必要不可欠なのである。(u)

*1:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%A2

*2:critical 批評的な、酷評的な、決定的な、危機的な、事態が重大な、などを意味する英単語 クリティカルとは―はてなダイアリーより