お金を提供するより、雇用を提供する―『情熱大陸』(出演者 山口絵理子)

山口氏はアジア最貧国のバングラディシュでバッグデザイナーをしている。そのバッグはバングラディシュで作られ、日本で販売される。そうすることによって雇用を生み出しているのだ。


バングラデシュは多額の援助を受け続けながら、最貧国のままでいる(一人当たりGDPは世界157位)。
なぜか?


世界で最も崩壊されていると言われる政治制度、世界トップクラスの稠密さ(人口世界第8位、人口密度世界第11位)、人口の98%を占めるベンガル人の「規律、自己抑制、社会性の欠如、また広く蔓延する非強調的な行動原理」*1がその原因である。この番組をきっかけにバングラデシュについて簡単に調べてみたのだが、まともに国として機能していないような有様だった。これではどんなに援助をしても劇的な変化は望めないだろう。
では、どうすればいいのか?


そこで山口氏が出した答えは、「必要なのは施しではなく、先進国との対等な関係だ」ということ。つまりはフェア・トレード。


ではあるのだが、ありがちなのは、エコで高品質で発展国のためになるんだけど、別に欲しくないフェア・トレード商品。理念的にはもちろんすばらしいが、わがままで目が肥えてしまった日本人からすると商品があまり魅力的ではないのだ。商品としても優れていなければならない。


山口氏の手がけるマザーハウスのバッグはデザイン性が高い(HPもぜひ見てください)。そして、バングラデシュの主要産物であるジュートを使い、地元の職人が作っている。そこが新しく、すばらしく、正しい。


まずは、商品価値ありきなのだ。じゃなきゃ、売れないだろう? 売れなきゃ、活動の意味がないだろう?


商品が売れれば、雇用が増える。働ければ、政治が崩壊していても稼ぐことはできる。働く場所があれば、人口増にも対応できる。働き続ければ、規律、自己抑制、社会性、協調性を身につけることができるだろう。今はまだ小さな一歩かもしれないが、確実に雇用を増やしている意味はすごく大きい。


ただ、ショックだったのは、これだけのことをやっている女性が私と同世代ということ。来年の今頃、どれだけのことをやれているだろうか。


参考ウェブサイト


裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ) (講談社BIZ)
裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ) (講談社BIZ)山口 絵理子

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