85.『酒肴酒』 吉田健一 光文社


酒肴酒 (光文社文庫)酒肴酒 (光文社文庫)

光文社 2006-02-09
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目次


1 舌鼓ところどころ
(食べものあれこれ
舌鼓ところどころ

旅と味覚 ほか)
2 酒肴酒
(酒、肴、酒
日本酒の味
酒の話
食べもの遍歴 ほか)


参考になったところ

  • 問題はそれを食べてうまいかどうかということであり、うまいものを食べたいのは我々の本能であるはずなのに、どっちがうまいかが仰山な議論の対象になったりする
  • ゆっくり飲んだり、食べたりできない旅行は意味がない
  • バーにあるのが人生だなどと、勿論、誰も思っていない。バーや飲み屋にはそんなものよりももっと貴重な酒があって、人生の方は我々がどこへ行っても、いやでもついて来る
  • 行った先のことは着いてからに任せてこそ、旅行を楽しむ余地が生じる。実際、自分がいつも住んでいない場所には何かあるのかわからないのである

感想


吉田茂の長男で、英文学の翻訳家、評論家、小説家でもある著者の
お酒と食べ物と旅行と人生について語ったエッセイ。


戦後を代表する総理大臣の息子で、ケンブリッジ大学への留学経験もある
スーパーインテリおぼっちゃんのはずなのですが、
ただの酒好きのおじさまにしか見えなくなるのが魅力的です。


旅行に行っても、朝から晩まで同じところで
地元の名産を食べ、地酒を飲み続ける。
ゆっくり飲むために旅行へ行っているのでしょう。
うらやましい限りです。


お金も時間も自由に使えない身ですが、
いつかはこんな風に旅行へ行ってみたいものです。