35.【富裕層が求めるもの、富裕層に求められるもの】 『富裕層はなぜ、YUCASEE [ゆかし] に入るのか』 高岡 壮一郎 幻冬舎
富裕層はなぜ、YUCASEE(ゆかし)に入るのか | |
高岡 壮一郎 幻冬舎 2008-02-08 売り上げランキング : 28 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
目次
【序章】すべてはインターネット上のプライベートクラブから始まった
【第1章】新世代富裕層「インテリッチ」の誕生
【第2章】インテリッチはどうやって富裕層になったのか?
【第3章】インテリッチが社会を変える
【第4章】新世代富裕層の日常としての(ゆかし)
【第5章】世界が富裕層を奪い合う
【終章】個人が主役になる社会へ
参考になった箇所
- 現在日本には147万人の富裕層がいるとされています。日本国民の83人に1人。さらに、その数は過去15年間で2倍近くに急拡大し、今も増加を続けているのです。
- 富裕層は大きく2種類
- 財産を受け継いだために富裕層になった人「相続リッチ」
- 自らの能力と努力によって財産を形成した結果、富裕層になった人「インテリッチ」
- インテリッチの特徴
- 一流のモノを好む
- コモディティ化されたものを嫌う
- よいものを求める
- 人脈構築へのモチベーションが高い
- 行動が早い
- 「第11回ワールド・ウェルス・レポート」によると住居用不動産以外に純金融資産100万ドル以上を有する富裕層は世界で950万人になります。その数は1年間に8.3%増加しています。
- 「目的意識を持って、合理的に工夫して、一生懸命に仕事をすれば、今の日本なら、誰でも富裕層になれる」
- 大半の人が損をする投資の世界で成功する人たちの特徴は、自分の投資哲学を持っていることと、自分の感情をコントロールする術を心得ていることです。
- (富裕層で)60歳未満の現役世代の人は、同じく現役世代の一般の人と比較して、インターネットによる積極的な情報収集欲が、なんと2倍なのです(『新世代富裕層の「研究」』野村総合研究所著)。
- 先発企業が日本市場の二極化を現実と受け止め、その現実に適応するために、「富裕層向けサービスと一般向けサービスを分けて提供しますよ」と宣言した時、驚くことに、生活者(一般層も富裕層も)はそれを当然のこととして受け入れたのでした。
- 顧客生涯価値を向上させるため、企業は目先の売上高や利益よりも、一人ひとりの顧客から信頼されることを重視するようになりました。そして一人の顧客から長期的に自社商品を買ってもらうことを強く志向するようになったのです。
- 企業は富裕層に特別サービスをオファーしたい。同時に、富裕層は自分に相応しい情報やサービスが欲しい。しかし、その両者が出会えるメディアは限られています。そんな状態に、個人も企業も双方が大きな不満を持っていました。
- 〈ゆかし〉には従来のプライベートクラブが所有する会員限定のレストランもなければ、スポーツクラブもありません。そこにあるのは厳選された情報、インターネットなどで高度に情報化された現代でもなかなか得ることのできない情報なのです。
- 「稼いで半人前。使って一人前だよ」と富裕層の方はよく言いますよね。
- 会員の方たちが興味のあるものを的確に提供し、より彼らが自分らしく行動をしてもらうことを<ゆかし>がサポートすることで、消費が活性化し、経済全体のパイを大きくすることができる。そうすれば社会にいる皆が一斉に恩恵を受けられる。それが弊社の願いです。
- 世界各国は、自国の経済成長の鍵を握る富裕層を獲得するための大規模な競争を行う時代になっています。
- 「日本は好きですよ。(中略)ただ、お金持ちにとってはやっぱり厳しいと思いますね。立ち位置が掴めないというか」(30代、個人投資家)
読んで思ったこと
きらびやかな富裕層の世界を紹介するだけの本だと思っていたのだけど、
中身は想像以上に充実していた。
日本においても増え続けている富裕層。
だが、階級という概念に慣れておらず、
富裕層(お金持ち)に対するイメージがよくない日本では、
彼らの居心地はよくない。
また、二層化する社会に気づいた企業も、
富裕層向けのサービスを手がけようとするが、
サービスの内容が的外れだったり、
それを富裕層にきちんと紹介できるメディアがないため、
結局彼らには届きにくい。
そのため、富裕層は日本でお金を使わないし、
また、国外へ出て行ってしまう。
そこで企業と富裕層をつなげるメディアとして登場したのが、
富裕層向けのSNS〈ゆかし〉だった。
〈ゆかし〉を運営している筆者は、
このプライベートクラブがきっかけとなり、
富裕層のお金が消費や投資となって国内を回り、
ひいては日本全体の活性になることを望んでいると思う。
富裕層の生活や、富裕層になる方法などの本は数多く出版されているが、
富裕層のノブレス・オブリージュ*1について触れた本はあまりなかったのではないだろうか。
こういう本が出たというのは、
日本において、富裕層という存在が、憧れとかメディア上の存在ではなく、
現実的なものとして見られてはじめたひとつの表れじゃないかと思う。