118.『ナショナリズムという迷宮 ラスプーチンかく語りき』 佐藤 優 魚住 昭 朝日新聞出版


ナショナリズムという迷宮 ラスプーチンかく語りき (朝日文庫)ナショナリズムという迷宮 ラスプーチンかく語りき (朝日文庫)
佐藤 優 魚住 昭

朝日新聞出版 2010-01-08
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目次

国家と貨幣
キリスト教の人間観、イスラム教の人間観
日米欧の精神的土壌
フョードロフの思想とオウム真理教
日本のファシズム前夜
民族とは何か
メディアの形成
病理としてのナショナリズム
ホリエモン事件の真相
国民国家ではない国家とは
官僚による“収奪”
一九三〇年代に何が起きたか
エリートシステムと中産階級
天皇機関説事件と蓑田胸喜その1
天皇機関説事件と蓑田胸喜その2
丸山眞男の思想
丸山眞男の思想その2

参考になったところ

  • 民族問題は民族浄化や暴力では解決しないと言われますが嘘です
  • 現代社会は教育から産業にいたるまで、きわめて高度な分業化が進んでいる。また、産業社会は、それを構成する人々の流動化、匿名化を促す。それを調整し、維持してゆく役割は国家にしか担えない。そして、バラバラになった人々をまとめるために、国家は「民族」「ナショナリズム」という共有の文化(=ストーリー)をもたせる
  • 一つの国家が滅びの道を突っ走り始めるときというのは、恐らくこうなのだ。とめどなく空虚な空さわぎがつづき、社会が一大転換期にさしかかっているというのに、ほとんどの人が時代がどのように展開しつつあるのか見ようとしない。たとえようもなくひどい知力の衰弱が社会をおおっているため、ほとんどの人が、ちょっと考えればすぐにわかりそうなはずのものがわからず、ちょっと目をこらせばみえるはずのものが見えない(『天皇と東大』立花隆 より引用)
  • 世の中、ろくでもないものしかない。国家だって民族だってろくなもんじゃない。しかし、ろくでもないもののなかをうまく歩いていかねばならない。繰り返しますが、重要なのは、絶対に正しいものはあるかもしれない、それは誰にとっても正しいものではなく、ある特定の集団にとっての正しいものであるにすぎないということ。そうした絶対に正しいものは複数あるんだと。あとは、私たちがその想像力をどこまで持てるかということだと思うんですけどね。