126.『テロリズムの罠 右巻 忍び寄るファシズムの魅力』 佐藤 優 角川学芸出版


テロリズムの罠 右巻  忍び寄るファシズムの魅力 (角川oneテーマ21)テロリズムの罠 右巻 忍び寄るファシズムの魅力 (角川oneテーマ21)
佐藤 優

角川学芸出版 2009-02-10
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目次

はじめに―危機の資本主義とファシズムの反復

序章 「思想戦」の時代へ
国家言論と国家超克の思想/第三次世界大戦の具体的シナリオ/恐怖するアメリ

第1部 血と帝国の思想戦 〈過去〉へと超克される国民国家の未来

第1章 ロシア情勢の変化
2007年12月2日、ロシア国家院選挙/「プーチン与党」とロシア政局/プーチンのシナリオ
第2章 王朝化する帝国主義と「生成するロシア」
プーチン20年王朝」再説/「民族理念の探究」から「国家イデオロギーの構築」へ
第3章 中国共産党科学的発展観
国家の本能/国家の思想戦が開始された
第4章 ロシア・グルジア戦争と国民国家の超克
「血」のオリンピック/ロシア・グルジア戦争の思想的解明/国民国家に未来はあるか



第2部 甦るファシズム 新自由主義が〈アトム化した個〉の行方

第5章 恐怖と不安とファシズム(上)
リーマン・ブラザーズマルクス/不安を食うファシズム/不安と恐慌の経済哲学的考察
第6章 恐慌と不安とファシズム(中)
不安と恐慌の存在論的な類比/「インマニュエルの原事実」
第7章 恐慌とファシズム(下)
資本主義社会の「死病」/いかにして資本主義を超えてゆくか
第8章 雨宮処凛、あるいは「希望」の変奏
絶対的貧困層」からの問い/日本資本主義の行方
第9章 新帝国主義と〈暴力〉の弁証法
ANNUS HORRIBILIS〈最悪の年〉/戦争と恐慌の影の中で


参考になったところ

  • 国際秩序を維持するためには、ロシアの勢力圏においては、ロシアが定めたルールに諸外国が従うべきだというのがロシアの考えである。もっとも、これを裏返すならば、アメリカの勢力圏において、ロシアはアメリカが定めたルールに従うということである
  • 日本の今後の三つのシナリオ
  1. 新自由主義から脱却できず、社会も国家も弱るシナリオ(しかも、絶対的富裕者たちは簡単に国外へ逃げ、低税金で暮らすことができる)
  2. 国家がシンボル操作によって排外主義を煽り立てて、国民の活力を国家に糾合しようというシナリオ(=ファシズム
  3. 日本で生活する人々が、国家の干渉を極力廃止し、相互扶助、贈与を行うことで社会を強化していく。その結果として、日本国家が強化される