162.『半島を出よ〈下〉 』 村上 龍 幻冬舎

半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)
村上 龍

幻冬舎 2007-08
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メモ

  • メンツをつぶされた人間は恨みを持つ。恨みは陰謀や反抗の芽になる
  • 結局世の親というのは、わが子の頬の柔らかさに救われ、支えられ、助けられて子育てを続けるような気がする
  • 何かを選ぶというのは同時に別の何かを捨てることだが、それをわかっていない人が大勢いる
  • 大事なのは、(中略)やらなければならない何かを見つけることだ。何もすることがなければ、腐ったものを見続け、腐った大人たちの言うことを聞き続けることになり、そしていつの日か大人に従い指示通りに生きたところで何の興奮もなく、楽しくもなかったということに気づき、ネットで仲間を募集して自殺するか、ホームレスになるか、あるいはあきらめて大人の奴隷になってこき使われて、それで一生終わることになる
  • 恐怖を自覚するのと、気づかないふりをしてごまかすのでは対処の仕方が違う。恐怖とその対象を認めなければ、恐怖に対応できないのだ。(中略)それを自覚してどう対応するか自分で決めることができたら、とりあえず立ち向かっていけるのだ

一言

上巻に比べるとエンターテイメント性が高い分、さらに引き込まれると思います。上下巻共通して、現状の日本への絶望と未来への小さな可能性が描かれています。小さな可能性というのは行政や会社が与えてくれるものでなく、自分で手に入れるものだとも感じました。